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ばななみるく
第7章 こいびとたち
白熱の決勝戦は感動のうちに終わった。

「おめでとう、魅莱」
衣月は嬉しそうに笑って帰り始める。

「あのコたちのところに行かないの?」と怪訝そうにする維緒奈に衣月は笑いかける。

「今日は恋人同士で勝利の喜びを分かち合いたいだろうからお邪魔はしないよ」

「剣道ではあんなに攻めるのに、好きなコにはけっこう遠慮がちなんだな」と維緒奈は笑う。

「じゃあ、これからわたしとデートしようか。今日は衣月だって優勝したんだから、そのお祝いもしないと」

「維緒奈・・」

「それとも、わたしじゃダメかな」

「そんなことないよ。嬉しいに決まってるじゃないか。ありがとう」

「よかった。じゃあ、行こう」

維緒奈は嬉しそうにはしゃいで衣月の手を取って走り出す。衣月もいそいそと走って維緒奈についていく。

先日、厳しい剣の試合をしたのが嘘のように、こうして無邪気にはしゃぐ維緒奈は可愛いと思う。剣士の時とのこのギャップにまた衣月はキュンキュンしていた。

愛菜と里津夏はいつものようにふたりで帰り道を歩いていた。

「でもやっぱり悔しいな。愛菜と全国に行きたかった。ごめんね」

最後の一球。自分の前でコートにボールが落ちた瞬間が忘れられない。里津夏は悔しそうに俯く。

「試合のことは言いっこなしだよ。楽しい試合ができたからいいじゃない。それに・・負けたのを謝るならあたしの方だよ。里津夏にパワーをもらっておきながら面目ない」

愛菜は里津夏のスカートを見る。テニスウェアのお尻もステキだけど、制服のお尻もまた違った魅力がある。

「もう、愛菜ったら、バカなんだから」
里津夏は恥ずかしそうに顔を赤らめる。

「わたしの家に寄ってくでしょ。残念会もしたいし」

「もちろん寄るわよ。ただし、残念会じゃなくて健闘会ね」

ふたりは腕を組んで歩いて行った。

「お疲れ様、魅莱。大丈夫?」
「うん。璃湖のおかげですっかり元気だよ」

魅莱と璃湖はみんなと別れて誰もいなくなったのを見計らって腕を組んだ。

「わたしの家に寄ってくでしょ」
「うん。本当はね、すごく疲れてるんだ。可愛がってね」

魅莱と璃湖は顔を赤らめて見詰め合う。
唇と唇を近づけようとすると、人の気配がしたので咄嗟に離れる。

気配の主は亜莉栖だった。

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