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不知夜月(いざよいづき)の夜に――
第2章 三日月
『今夜は三日月なんです』
カウンターから真っ直ぐに見える
暮れなずむ空に目をやって
彼女が呟いた
『そうか…三日月か…』
そういえば君と別れてから
月を見る余裕を無くしていたな…
別れた夜の真ん丸な月が
悲しいくらいに美しくて――
君の流した涙を
キラキラと輝かせていた
あれから僕は
夜空を見ていない
『久しぶりに月を探してみようかな』
僕がそう言うと
彼女はまた華やかな笑顔になった
『じゃあ 行くね…
えーと…名前は…』
そういえばまだ名前
聞いてなかったな…
『幸です
香坂 幸(さち)と言います』
『僕は 古川 蓮
蓮で良いよ
じゃあね 幸さん』
『はい さようなら蓮さん』
そうして僕は店を出た
見上げると
まだ薄明かるい空に
白い三日月が浮かんでいた
カウンターから真っ直ぐに見える
暮れなずむ空に目をやって
彼女が呟いた
『そうか…三日月か…』
そういえば君と別れてから
月を見る余裕を無くしていたな…
別れた夜の真ん丸な月が
悲しいくらいに美しくて――
君の流した涙を
キラキラと輝かせていた
あれから僕は
夜空を見ていない
『久しぶりに月を探してみようかな』
僕がそう言うと
彼女はまた華やかな笑顔になった
『じゃあ 行くね…
えーと…名前は…』
そういえばまだ名前
聞いてなかったな…
『幸です
香坂 幸(さち)と言います』
『僕は 古川 蓮
蓮で良いよ
じゃあね 幸さん』
『はい さようなら蓮さん』
そうして僕は店を出た
見上げると
まだ薄明かるい空に
白い三日月が浮かんでいた