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不知夜月(いざよいづき)の夜に――
第3章 上弦の月
あれから毎日
あのコーヒーショップの前を通るようになった
終業時間がほぼ同じ事を知り
どちらかが先に店に着けば
いつものカウンター席で待つ
30分待っても来なければ
それ以上待つことなく帰る
自然に
そんな暗黙のルールが出来ていた
大抵 週に3日はカウンターに並んで
飲み物を飲み 会話を楽しんだ
日没が早くなり
近頃は6時ともなれば
街灯に明かりが灯る
店内のテーブルの上では
ランプに灯された光が
しっとりとした雰囲気が醸し出されている
『ね!?
お店の雰囲気が変わるでしょう?
私 この雰囲気もまた好きなんです』
珍しく彼女がはしゃぐ
『へぇー
コーヒーショップというより
バーにでも来たみたいな雰囲気だね』
『でしょう?
昨日からランプが灯るのが6時になったんです
それまでは6時半だっんですけどね
すっかり日暮れが早くなったからでしょうね』
まるで少女が
自分だけが知ってる秘密を
誰かに教えるみたいに
嬉しそうに話す様子は
とても可愛い