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不知夜月(いざよいづき)の夜に――
第4章 満月
上弦の月の夜
幸さんと会えないまま一週間が過ぎた――
あの日から毎日
仕事帰りにこの店で彼女を待っているのに…
入り口のドアが開く度に
振り向いては
結局溜め息を吐いて視線を戻す…
どうして来なくなったのか
何があったのか全くわからなくて
不安だけがつのっていた
"…こんな事なら
携帯番号くらい聞いておくんだった!"
今更後悔しても
どうにもならない―――
自分に腹がたって下唇を強く噛んだ
もしかしたら…
元の彼と寄りが戻ったのかもしれない…
それとも新しい恋人でも出来たのか?
彼女の気持ちも考えずに
僕が距離を縮めようとしたばかりに
戸惑わせてしまったのかも知れない
きっと彼女は僕をただの友人としか
見ていなかったんだ…――
考えれば考えるほど
マイナス思考に歯止めがかからなくなっていた