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不知夜月(いざよいづき)の夜に――
第4章 満月
『昨日 古川様が帰られた直ぐ後に
いつもの女性が来られて
あなた様を探しておられました

"つい今しがた帰られましたよ"
そうお教えしたら
いつもの席で手紙を書いて

"これを渡してください"と言って
置いて行かれました』


幸さんが来たんだ――


『有難うございます』
お礼を言うと僕は急いで封を開けた


手紙は
"ご免なさい"で始まっていた


別れの手紙なのではないか…?


僕の心臓は
慌ただしく脈打ち
手紙を持つ指先が微かに震える


手紙といっても
コピー用紙1枚が
ありふれた白い縦形の封筒に入っているだけ


きっとこの店の人に頼んで
貰ったものだろう


そこに書かれた丁寧で美しい文字
何より綴られた言葉が僕の心を熱くした




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