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不知夜月(いざよいづき)の夜に――
第4章 満月




《ご免なさい

一週間来れませんでした

あの夜
あまりにも綺麗な上弦の月だったので
家に帰ってから月を眺めたのです

この月を
きっと蓮さんも観ていると思うと
つい嬉しくなって

ワイングラスを手に
窓を開け放ち暫く眺めていました

そして
蓮さんが話してくれた
楽しい話を思い出しながら
赤ワインを何杯か飲んだのです

つい飲みすぎてしまい
そのまま眠ってしまったようです

深まる秋の宵は冷えるものです
ご想像の通り翌日には風邪を引いていました

喉が腫れ熱が出ました

仕事も休まなければならなくなり
当然 コーヒーショップにも来れませんでした

本当に浅はかな自分に
呆れながら
部屋で過ごしていました

あなたに逢えない日々は
本当につまらなくて…

逢いたくて
ただ…蓮さんに逢いたくて――


ショップの店員さんに
毎日来ている事を聴いて
私は気持ちを伝えようと思いました

蓮さんが好きです

もし…
またお逢い出来るのならお電話ください

駄目なら
破り捨ててください―――

携帯番号
080 9527 ○○○○


幸より》




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