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不知夜月(いざよいづき)の夜に――
第4章 満月
読み終えた僕は
まるで
何かの小説のページを読んだかのように
書かれた言葉を繰り返していた


――蓮さんが好きです―――


好きって…
僕が思っているような ―好き―?


夢の中にいるような
だけど現実で


僕はスマホを取り出して
書いてある番号をタップしていた


逢えない時間が
確実に幸さんへの想いを深めていた


コールが続く数秒は
この上なく長いものに感じた


通りの街灯が色を増し
カウンターテーブルのランプに
灯りが灯され


店内に掛けてある
レトロな掛け時計が
微かに 午後6時を知らせていた


直後―――


『はい 幸です
蓮さん…ですか?』


彼女の優しい声が
スマホから聴こえた



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