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不知夜月(いざよいづき)の夜に――
第1章 新月
『歩美、ごめんな』


雨の中で彼女の腕を捕まえて
僕は頭を下げた


『…あなた 誰?』


雨の音に欠き消されてしまいそうな小さな声


顔を上げて彼女を見ると


『あ……ごめん…
人違いでした』


君に良く似た背格好
良く似た髪型
着ている服も君と似ている


なのに


君では無かった




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