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すこし歪な愛の形
第1章 すこし歪な愛の形
「ちゃんと帰るから、待ってて」
今日は朝帰りのつもりだったけれど、ちーちゃんが会いたいって言うなら帰らなきゃ。
『ホントに?』
弱々しい声に混じって、鼻をすする音が聞こえる。もしかしてちーちゃん、風邪引いたんだろうか。それなら、おかしな様子も納得出来る。
「急いでグラス空けたら、お薬買って帰るから!」
『グラス、空けたら……?』
「うん、残したら勿体ないし。それよりちーちゃん、プリンとヨーグルトならどっちが食べられそう?」
けれど返事はない。電波が悪かったんだろうか、電話はなぜか切れてしまった。
「……プリン? ヨーグルト?」
そうだ、同じ女の子なら、どっちがいいかアドバイスをくれるに違いない。急いでテーブルに戻って、ミワちゃんとサエちゃんに訊いてみよう。
急いで戻って訊いてみると、流石女の子。食べ物だけじゃなくて、看病の仕方とか、どんな声を掛けてあげたら嬉しいのかとか、色々教えてくれた。持つべきものは友。熱がある時にウロウロされるとかえってウザいなんて、さっぱり気付いてなかった。
話し込んじゃって気が付けば朝帰りになってたけど、逆に良かったと思おう。