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すこし歪な愛の形
第1章 すこし歪な愛の形
「あたしはプリンとかヨーグルトが食べたくて呼んだんじゃない! 昔っからいっくんはそうだよね、人の話は全然聞かないし、思いやりもない!」
「き、聞いてるよ! なんで急にそんな話になるの、意味分かんないよ」
「あたし、分かったの。可愛いだけじゃ駄目、って、いっくんの事だって」
可愛いだけじゃ駄目? なんだろう、どこかで聞いたような言葉だけど思い出せない。
「一番そばにいてほしい時にいてくれないんじゃ、一緒にいる意味なんてないよ。あたし、もう別れる!」
なんでちーちゃんは泣いてるんだろう。その上別れるとか、なにその急展開。まるで身に覚えがない。
「ひどい……」
僕の呟きと、ちーちゃんの呟きが被る。ちーちゃんは口をつぐんで、僕はそのまま口を開いた。
「ひどいよ、ちーちゃん! 僕はいつだってちーちゃんの事を考えて生きてるのに、夢はちーちゃんとハワイで新婚旅行行く事なのに、ちーちゃんはそう思ってくれなかったの!?」
「え……?」
「僕、すっごく傷ついたんだよ! ちーちゃん、謝って!」
ちーちゃんは二、三回まばたきすると、長い溜め息を吐く。