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しゃぼん玉色した彼
第1章 1
ゆっくりと彼が近付くのを感じた。
だけど、近付くだけで触れたりはしない。

じれったい。
でも、何も言えなくて、胸をドキドキとさせながら彼の唇が触れるのを待つ。


自然と唇が彼を求めるように尖っていく。
それを見た彼がふふっと笑みを零して、低い声で囁くように呟いた。


「可愛い」

「……っ」



それからすぐに触れた唇。
舌を掬い取られ、唾液がいやらしい音を立てて混じり合った。

微かに漏れる吐息が、胸の鼓動を速めていく。


ああ、彼が大好きだ。
―――――――――――――玲於。


今、私は玲於と空気を共有しているんじゃないかって錯覚してしまう。
彼の吐き出す息を、私が吸い込んで。
私が吐き出す息を、彼が吸い込む。

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