 この作品は18歳未満閲覧禁止です
 この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
しゃぼん玉色した彼
第3章 奇妙な同居生活

仕事中も気になるのは、玲於の事。
気持ちを何度も切り替えようとしたけど、今日は本当に仕事にならないかもしれない。
プライベートと仕事を混合するなんて、これじゃ部下に何も言えない。
今日はもう、残ったとしても終わる気がしない。
それなら、さっさと帰って玲於の様子でも確認しよう。
いなくなったならそれでいいじゃないか。
いたとしたら、きちんと連絡先を聞いておこう。
私は定時の時刻が近付くと、帰る準備を着々と進めていく。
大きな企画を担当していたらこうもいかない。
暇な期間で本当によかった。
定時になって私はすぐに立ち上がると、お疲れ様と言ってオフィスから出ようとした。
周りはまだ仕事をしていたから、早々に帰宅する私に少し驚いていた。
こんな事、滅多にないし。
いや、初めてかも。
「下野主任、もう帰るんですか?」
そう声をかけてきたのは、前から歩いて来た逢坂くんだ。
その腕の中にはたくさんの書類。
「お疲れ。うん。今日は家に早く帰ろうかと思って」
「へえ。何かあるんですか」
「あ、いや、……は、母親が。母親が家に来てるのよ」
咄嗟にそう嘘を吐くと、彼は「なるほど」と小さく唸る。
 

 作品検索
 作品検索 しおりをはさむ
 しおりをはさむ 姉妹サイトリンク 開く
 姉妹サイトリンク 開く


