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しゃぼん玉色した彼
第3章 奇妙な同居生活
すると、
「当たり前じゃないですか。だから声掛けてるんですよ」
と言って逢坂くんが眉間に皺を寄せ口を尖らせる。
「前に誘った時、その企画が終わったらね~って軽くあしらわれたんで」
「え。覚えていない」
「やっぱり」
更に眉間の皺が深くなると、はあっと彼が大袈裟に溜め息をついた。
「あのですね。俺、割とその言葉信じて頑張ってたんですからね!?」
「そ、そうなの」
ずいっと顔を前面に出して来た彼の勢いに押されながら、私は答えた。
「だから、ちゃんと今約束取りつけようかと思って」
「あはは。わかった。終わったらね」
「言いましたね? 約束ですからね?」
「うん。約束。指きりでもする?」
「……し、しません。子供扱いしないでくださいよ」
ぷいっと顔を背けた逢坂くんは、「絶対ですからね!」と念を押してから自分のデスクへと戻って行った。
逢坂くんは本当に子供みたいだなあ。
私は一人、ぷっと吹き出すと気を取り直してから仕事に取り掛かった。