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しゃぼん玉色した彼
第1章 1
愉しそうな瞳と相反する優しい声色。
持ちあがった頬と、口の端。
黒い玲於の髪の毛がさらりと揺れる。
斜めに分けている前髪は彼の目を少しだけ隠していた。
だけど、その奥から覗く茶色い瞳は私を確かに捉えていて、それだけで胸が苦しくなる。
大好き、好き、玲於。
そう言葉にしたいのを止めて、私は言葉を吐き出した。
「私の、首、ね、首に噛みついて」
「本当に好きだね、桜」
ゆっくりと彼の指が私の腕から肩へと形作るようになぞりながら上がっていく。
そして、その手は私の首元で止まった。
「……桜ってヘンタイ」
「っ!」
玲於に耳元でそう囁かれ、そんな事ないと言う代わりに小さく首を振る。
だけど、玲於はそんな私を無視して邪魔な髪の毛を搔きあげた。
それから静かに首筋に噛みつく。彼の八重歯が首に食い込んだ。
微かな痛みと、粟立つような快感が足先からせりあがる。
ちゅ、とリップ音をわざとらしく立てながら何度も何度も私の首を噛んでいく。