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あなたが教えてくれたこと
第2章 2
「お待ちしてました、先生。こちらこそよろしくお願い致します」

動揺などおくびにも出さないのは義母に厳しく教え込まれた賜物であった。

「先生だなんて。遼平でいいですよ」
「まさかそんな。さ、先生、こちらです」

息子の部屋へと遼平を案内する。

「智哉、こちらが今日から家庭教師として来て下さる赤名先生です」

紹介されても智哉は照れた様子で挨拶もしない。
六年生にしては幼すぎて頼りない息子に困った笑みを浮かべる。

「すいません。この子はちょっと照れ屋でして」

謝りながら若い家庭教師を見上げると、驚いた目で見られていることに気付いた。

「あのっ、先生?」
「あ、いや。すいません。……お母さんだったんですか。お若い方なのでてっきり使用人の方かと。失礼しました」

すぐに平静に戻った遼平は、屈んで椅子に座る智哉と同じ視線にした。

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