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あなたが教えてくれたこと
第2章 2
「俺は遼平。先生と呼ばないように。よろしくな」
「よろしく、お願いします」
緊張しながらも返事をする息子を見て、笑顔で頷く。
敬語を話す我が子はなんだか可愛らしくもあり、大人になっていくようで少し寂しくも感じた。
「それでは宜しくお願い致します」
遼平に任せてキッチンへと戻る。夕飯は義父と息子と家庭教師と紫遠の四人で摂る予定だ。
夫の帰りはいつも遅く、一緒に食卓を囲むことは少ない。遅いならまだしも何の連絡もなく帰ってこない日も多かった。
夫、正嗣には外にも女がいる。それは結婚した翌日に聞かされた事実だった。
いくら世間知らずの紫遠とはいえ、それが異常なことであることくらい理解できた。
『俺は外にも囲っている女はいる。もちろんその女たちとの間には子供はいないし、これからも作る予定はないから安心しろ』
そう言われ、何をどう安心すればいいのかも分からなかった。
好きも嫌いもなく、親に決められるがままに結婚した相手とはいえ、さすがに彼女は傷付いた。
『私は家のために嫁がされたんだから仕方ない』
無理矢理そう思うことでその屈辱に堪えるしかなかった。
「よろしく、お願いします」
緊張しながらも返事をする息子を見て、笑顔で頷く。
敬語を話す我が子はなんだか可愛らしくもあり、大人になっていくようで少し寂しくも感じた。
「それでは宜しくお願い致します」
遼平に任せてキッチンへと戻る。夕飯は義父と息子と家庭教師と紫遠の四人で摂る予定だ。
夫の帰りはいつも遅く、一緒に食卓を囲むことは少ない。遅いならまだしも何の連絡もなく帰ってこない日も多かった。
夫、正嗣には外にも女がいる。それは結婚した翌日に聞かされた事実だった。
いくら世間知らずの紫遠とはいえ、それが異常なことであることくらい理解できた。
『俺は外にも囲っている女はいる。もちろんその女たちとの間には子供はいないし、これからも作る予定はないから安心しろ』
そう言われ、何をどう安心すればいいのかも分からなかった。
好きも嫌いもなく、親に決められるがままに結婚した相手とはいえ、さすがに彼女は傷付いた。
『私は家のために嫁がされたんだから仕方ない』
無理矢理そう思うことでその屈辱に堪えるしかなかった。