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あなたが教えてくれたこと
第6章 6
返事が来る前に洗濯や掃除に取り掛かったのは、単に気を紛らわせる為だけではない。
彼からどんな返事が来てもすぐに対応出来るようにしておきたかったからだ。
急ぎで仕事を終えてから、敢えて部屋に置いてきた携帯電話を確認すると青いランプが点滅し、彼女に呼び掛けていた。
逸る気を抑えながら着信メッセージを確認する。
『正午に俺の部屋でいかがでしょうか?』
彼の方も簡潔な文章であった。
一行だけの文章を返されて、はじめて身につまされる。少なすぎる言葉は人を不安に駆り立てるものだということに。
家を出るのは簡単だった。義父はここ最近昼間に家を空けることが多かったし、在宅していたとしても自室から出てきたがらない。
問題はどちらかというと帰る時間の方だ。
息子の帰る時間や夕食の支度にかかる時間などを逆算し、午後三時には彼の家を出なくてはならない。
鏡に向かい、化粧を整えながら彼のことを思っていた。
彼からどんな返事が来てもすぐに対応出来るようにしておきたかったからだ。
急ぎで仕事を終えてから、敢えて部屋に置いてきた携帯電話を確認すると青いランプが点滅し、彼女に呼び掛けていた。
逸る気を抑えながら着信メッセージを確認する。
『正午に俺の部屋でいかがでしょうか?』
彼の方も簡潔な文章であった。
一行だけの文章を返されて、はじめて身につまされる。少なすぎる言葉は人を不安に駆り立てるものだということに。
家を出るのは簡単だった。義父はここ最近昼間に家を空けることが多かったし、在宅していたとしても自室から出てきたがらない。
問題はどちらかというと帰る時間の方だ。
息子の帰る時間や夕食の支度にかかる時間などを逆算し、午後三時には彼の家を出なくてはならない。
鏡に向かい、化粧を整えながら彼のことを思っていた。