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あなたが教えてくれたこと
第2章 2
紫遠の実家は小さいながら建設業を営んでいる。
全ての仕事は下請けで、その元請けの大きな一つが星崎建設であった。
傾きかけた家業を立て直すのに、娘の人身御供は当たり前と父は考えていた。むしろその為に美しく生んで、可憐に育てたとすら考えている。

昔のことを思い出しながらも紫遠は止まることなく野菜を刻み、肉を焼き、汁の味を調えていく。

義父母にいびられても、夫が他所で女と遊んでいても、こうして堪えてこれたのは息子のお陰である。
どれだけ辛くても成長していく息子を見ていたら救われた。

時計を見ると午後六時を回っている。
家庭教師とうまくやっているだろうか?
紫遠は少し不安に感じていた。

『ちょっと変わった感じの人だな……』

新しい家庭教師の風貌や言動を思い出す。
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