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あなたが教えてくれたこと
第8章 8
「今は、紫遠さんだけを愛してる」
「えー。もったいないよ。若いんだし、かっこいいんだし。こんなおばちゃんだけじゃなくて若い子とも遊んだらいいのに」
「紫遠っ」

最後の方はほとんどやけになった声だった。遼平は彼女の手首を掴んで引いた。

「別にいいんだよ? 遼平さんのこと縛り付けるつもりなんてないし。というかそんな権利なんて」

続きを言わせまいと彼の唇が紫遠の唇を塞ぐ。

「やめてっ……そうやって誤魔化そうとするとこ、嫌い」
「誤魔化してるのは紫遠の方なんじゃないのか?」

顎を掴んだ遼平は逃すまいと彼女の顔を引き寄せる。

「どうしたの、紫遠」
「触らないでっ! お願いっ! 穢いから、わたし……」

滴り落ちていつの間にか泣いていたことに気付かされた。

「あの人に……抱かれたの、昨夜……ごめんなさい……」

か細いその声に、遼平の動きが止まった。

「すごい嫌だったのにっ……やめてとも言えないで……あの人に弄ばれながら、ずっとあなたのことを想ったわっ……」

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