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あなたが教えてくれたこと
第2章 2
正嗣の手には小さめな平棒が握られている。パドルと呼ばれる尻などを叩くものだ。
既に繰り返し打ち据えられた彼女の臀部は赤く腫れている。

夫が振りかぶるのを見て、紫遠は息を止めて衝撃に備えた。
ビシンッと鋭い音と共に痺れた熱が走る。

「ううっ」

歯を食いしばっていたが、それでも喉の奥から声が漏れてしまう。
朱色に燃えるそこは、自分の身体とは思えないほど神経が麻痺していた。
瞬間的な痛みが消えると痺れる鈍痛だけが残る。それが肌から身のうち側へと染みこんで、気持ちよさに変化していく。

結婚して間のない頃は夫の常軌を逸した愛し方が苦痛でしかなかった。怖くて、惨めで、恥ずかしくて、何より痛かった。
しかし次第にその中から快感を感じ取れるようになる。その変化は伝えずとも、正嗣も感じ取ったようだった。
その変化を悦びながらも、もちろん責めが緩むことはなかった。むしろよりハードな仕打ちが増えていく。
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