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あなたが教えてくれたこと
第2章 2
彼は手のひらにハッカ油を垂らし、妻の尻をピシャンッと叩いた。

「ああっ……」

一瞬の間を置き、強烈な爽快感の棘が突き刺さる。

「ああぁっ! も、燃えるっ! 身体がっ!」

爽快感が苦痛に感じることをはじめて知らされた。
傷口にアルコールを注がれたようだった。
淑やかさなど保てるわけがなく、紫遠は獣じみた声を発しながら床を転がる。

しかし揮発性の高いハッカ油に持続性はない。
死線を漂ったのは一分ほどで、そのあとは痛みが引いて痺れだけが肌の表面を漂っていた。

「はぁはぁはぁ……」

苦痛から解放されると、安堵と快感がもたらされる。
悶絶が大きいほど、その見返りは強くて甘かった。

「もっと欲しいか?」
「もうお赦し下さいっ! ひっ……」

もう一度ハッカの香りがする平手を見舞われる。
忘れかけていた苦悶が蘇り、精神に触れた。
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