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あなたが教えてくれたこと
第2章 2
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紫遠は朝から重い熱が下腹部に籠もっていた。
昨夜の夫はいつもより執拗に彼女の身体をいたぶり、事を終えた時は午前二時を回っていた。

『早く支度をしなくっちゃ』

こんな時でも紫遠は午前五時半に起床して朝の支度を始めなければならない。どんな理由があろうが、夫も義父も彼女の怠慢を赦してはくれなかった。

朝食の支度、着替えの用意、軽い拭き掃除、朝刊の整理、ふらつく身体でそれらを慌ただしくこなしていると時間はあっという間に過ぎていった。

「なんだ、まだ出来ていないのか?」

気付くと夫は不機嫌そうな表情でダイニングに立っていた。

「すいません。もうすぐで出来ますので」
「もういい。お前のぐずに付き合っていられない」

吐き捨てるように言葉を残し、正嗣は出て行ってしまう。
朝から手を上げられなかったことだけが救いだったが、惨めで目が熱くなってしまった。

「お母さん、おはよう」

入れ替わるように息子が入ってきて、慌てて彼女は目許を拭う。
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