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あなたが教えてくれたこと
第1章 1
今度の声は叫びに近かった。
だがどれだけ大声を出そうが、この部屋での出来事は外には聞こえない。
紫遠の為のこの特別室は完全に防音された上に地下に位置しているからだ。
彼女がしなるとパイプベットが軋んだ音を上げる。
まるで病室にあるような無機質で粗末なベッドの上で、紫遠は蹲る。
紫遠がこの家に嫁いだ二十歳の時に、当時物置だったこの部屋は改装された。
以来十三年、彼女はこの部屋でしか夫と肌を重ねたことがない。
「ごめんなさい、あなたっ」
今年で三十四歳になるというのに、紫遠の美貌は衰えを知らない。
もちろん年を重ねるごとに嫁いだ頃の初々しく若さの漲った肌は張りを落としていったし、それなりに皺なども増えた。
しかしそれを補ってあまりある艶や色香が増している。
「謝るくらいならば初めから抜けないように注意を怠るな」
正嗣はそんな美しい妻の髪を掴んで顔を近付けた。
三十八歳の時に結婚した彼も同じだけ年を取り五十一歳になっていた。
だがどれだけ大声を出そうが、この部屋での出来事は外には聞こえない。
紫遠の為のこの特別室は完全に防音された上に地下に位置しているからだ。
彼女がしなるとパイプベットが軋んだ音を上げる。
まるで病室にあるような無機質で粗末なベッドの上で、紫遠は蹲る。
紫遠がこの家に嫁いだ二十歳の時に、当時物置だったこの部屋は改装された。
以来十三年、彼女はこの部屋でしか夫と肌を重ねたことがない。
「ごめんなさい、あなたっ」
今年で三十四歳になるというのに、紫遠の美貌は衰えを知らない。
もちろん年を重ねるごとに嫁いだ頃の初々しく若さの漲った肌は張りを落としていったし、それなりに皺なども増えた。
しかしそれを補ってあまりある艶や色香が増している。
「謝るくらいならば初めから抜けないように注意を怠るな」
正嗣はそんな美しい妻の髪を掴んで顔を近付けた。
三十八歳の時に結婚した彼も同じだけ年を取り五十一歳になっていた。