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あなたが教えてくれたこと
第3章 3
紫遠はこれまで誰かを想って自慰をしたことがなかった。
いつもただ身体を弄り、肉体的な快楽を探っていた。

『失望した? 上品ぶった女がこんな変態で』

グレーに透き通る彼の瞳が狼狽するのが浮かぶ。
軽蔑され、呆れられ、欲情されたかった。

中指で蕩けた秘園をなぞる。

『もうドロドロになってるっ』

中指は何度も行き来し、たっぷりととろみを掬って媚芯に塗りつけた。
緩やかに描く円が愉悦の波紋作り、それが身体中に広げていく。

「うぅ……あっ……」

喉の奥の堰が快楽の濁流に崩される。
何かを摑みたくてソファーに爪を立てた。
それでも中指は容赦なくクリトリスを責め立てる。

「い、いくぅっ……」

ギリッと歯を食い縛り、圧す力を緩めずに速度を上げた。息を止めて力を籠め、限界まで堪えてから一気に気を放つ。

「あっ……あぁ……」

成熟した肢体を震わせ、絶頂の恍惚を味わう。
美しい青年の姿を思い浮かべるとその快楽は更に刺激的に感じられた。
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