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あなたが教えてくれたこと
第4章 4
「すぐに立ち直れというのは無理があります。少し時間に助けてもらうしかない」

リビングのソファーに腰掛けた彼の前にお茶を差し出す。

「そう、ですね」

彼がどんなメッセージを送ったのか気になったが、訊くのは何となく憚られた。

「旦那さんはよく手を上げるんですか?」
「いえ。そんなことはありません」

疑わしいほど即答する紫遠に、遼平は苦笑いを浮かべる。
いつもなら自分の感情など全て胸中に押し込めてやり過ごせるが、彼の力ない笑顔に神経が逆撫でられた。
頭が熱くなり、動悸が激しくなる。

「こんなこと、夫婦の中ではどこにだってあることなんです。騒ぎ立てるようなことじゃありません。若い先生にはお分かり頂けないでしょうけど」

早口で捲し立て、遼平を睨んだ。
まるで彼が加害者かのように、きつく非難した。
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