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あなたが教えてくれたこと
第4章 4
「そうですか。そりゃ分かりませんね。もし俺が若いから分からないのだとしたら、そんなことが理解できるように年を取りたくないですね」

皮肉なんだろうが、彼の口上は寂しげだった。
慈しむ目で見られ、取り乱したことが余計に惨めな気持ちになる。

遼平は手を伸ばし、優しくガーゼを撫でた。鬱血してるとはいえ、痛みはない。
ガーゼ越しとはいえ、夫以外の人間に顔を触れられるなんてあってはならないことだった。
しかし紫遠はその手を容易には振り払えなかった。

十歳以上歳の離れた男に惹かれるはずなんてないと思っていた。
彼の美しく精悍な顔は、まだキスをしてくるのには遠い位置にある。しかし油断をしていると吸い込まれそうな魅力があった。

「心配してくださって、ありがとうございます」

彼の手を握り、頬からそっと引き離す。

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