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あなたが教えてくれたこと
第4章 4
彼の言葉が意味するところがあまりにも際どく、対応に窮してしまう。
しかし言った本人の遼平は平然とした顔で笑っていた。

「じゃあ、今日はこれで失礼します」

彼は鞄を持ち、立ち上がった。

「あ、はい。すいませんでした。いつも通りお金はお支払いしますので」
「それは無理です。授業をしてないんですから」
「いえ。そうさせてください。お願いします」

しばらく押し問答を行った結果、これは紫遠が押し切れるかたちとなった。

彼が帰ってしばらくすると智哉が部屋から出てきた。気恥ずかしいのか、少し硬い表情なのが可愛い。

「ごめん、智哉。夕飯まだなの。急いで作るね」
「僕も、手伝うよ」

息子は腕をまくり、キッチンに立った。智哉が母の手伝いをするのは珍しい。
一体遼平はどんな魔法をかけたのか不思議に感じたが、それは上手に隠した。

「助かるわ。じゃあ玉葱と人参の皮を剥いて」

指示を与えると智哉は嬉しそうに頷いた。
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