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あなたが教えてくれたこと
第4章 4
その夜遅くに正嗣は帰宅した。
いつ何時帰宅しても紫遠は迎えなくてはならない。

玄関で迎えたときに彼の視線が紫遠の頬に貼られたガーゼに向いたが、特に言葉はなかった。
夕食は済ませてきたという夫に、お茶漬けを作る。
普段から口数が少ない正嗣なので会話はなくとも違和感はなかった。
さり気なく智哉はいつもと変わらずにしていることを告げると「そうか」とだけ応えた。

昨日のことは何事もなかったように、二人は接する。ややこしいことや感情が縺れたり、時には険悪なことにもなる。それでもいつも通り暮らしていく。それが夫婦であり、家族である。
誰が正しいとか、悪いから謝罪しなくてはいけないとか、家族はそんな追求をするものではない。
少なくとも紫遠はそう考えていた。

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