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あなたが教えてくれたこと
第4章 4
しかしそれでも明らかにしておかなくてはならないこともある。

「あなた、どうして智哉のゲーム機を持っていたの?」

茶碗を持ったまま正嗣は紫遠を睨んだ。
『ここで怯むわけにはいかない』
紫遠は目を逸らさずに夫と向き合う。

「夜の内に部屋に入って調べたからだ」

普段と様子が違う妻に気付いていたが、彼は平然と告げた。

「あなた。たとえ親子でも智哉ももう六年生です。勝手に部屋に入って物色するのは」
「黙れっ!」

茶碗が飛び、壁にぶつかって割れた。

「六年生など子供もいいところだ。だいたいいくつになろうが子供は親が監視してやらねばならないんだ」

血走った目が紫遠を睨みつける。

「あの子にだってプライバシーはあります」
「プライバシーだ? ふざけるな。子供がおかしな道に行かないよう、導くのが親の役割だ!」

智哉のことだけは譲るわけにはいかなかった。
恐怖で竦んでも、立ち向かう姿勢は崩せない。

「あの子にはあの子の暮らしがあり、世界があるの。悪いことは止めないといけないけど、何もかも親の思いを押し付けるのは違うと思います」
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