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あなたが教えてくれたこと
第5章 5
「おいおい。俺とお前しかいない家でそんな恥知らずの下着を穿いてる奴がよくそんなこと言えたもんだな」

下卑た嗤いが躙(にじ)り寄ってくる。

「お前だってまんざらじゃなかったんだろう? あまり正嗣にも可愛がってもらってないみたいだしな」
「嫌っ……お願いです、止めてくださいっ……」
「あいつも馬鹿だな。こんないい女がいるのに外に女なんか作って」

どれだけ抵抗しようが、この家には二人しかいない。
冨士雄は逃れられない獲物を前に舌なめずりをする肉食獣のように愉しんでいた。

「心配するな。このことは正嗣には黙っておいてやる」

不貞を働こうとしている方の者からそんなことを言われ、紫遠の頭に血が上る。
「ふざけないでっ!」と叫びたかったが、震えで喉が動かなかった。
冨士雄は彼女の足首を摑み、力任せに引っ張った。

「きゃあっ!!」

脚に体重をかけられ、慌てて引っ掻こうと腕を振る。
しかしそれは読まれきっていた。
腕も抑えつけられ、身動きがとれない。
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