この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
あなたが教えてくれたこと
第5章 5
彼にキスされて怒るとか、戸惑うとか、そういう感情は生まれなかった。
そしてようやく自分自身で認めることが出来た。
『私は遼平さんが好きなんだ』と。
それは妻として赦されることではない。
ましてや責任ある母親としてなら、もっと赦されることじゃなかった。
『わたし、どうかしてる』
心臓が異常を来したように跳ねる。あまりの鼓動の速さに恐怖すら覚えるほどに。
だが怖いのに、心が弾んでしまう。
「好きです、紫遠さん」
彼の唇が再度近付いてきて、慌てて顔を背けてキスを避けた。
「ごめんなさい……嬉しいですけど、応えられません。本当にごめんなさいっ……」
自分がどんな仕打ちを受けていようが、たとえ夫が浴びるほど浮気をしていたとしても、自分が不貞を冒していい理由にはならない。
「俺が、嫌いですか?」
「そういう訊き方、狡い」
彼は優しく顔を傾けさせ、視線を合わせてきた。
そしてようやく自分自身で認めることが出来た。
『私は遼平さんが好きなんだ』と。
それは妻として赦されることではない。
ましてや責任ある母親としてなら、もっと赦されることじゃなかった。
『わたし、どうかしてる』
心臓が異常を来したように跳ねる。あまりの鼓動の速さに恐怖すら覚えるほどに。
だが怖いのに、心が弾んでしまう。
「好きです、紫遠さん」
彼の唇が再度近付いてきて、慌てて顔を背けてキスを避けた。
「ごめんなさい……嬉しいですけど、応えられません。本当にごめんなさいっ……」
自分がどんな仕打ちを受けていようが、たとえ夫が浴びるほど浮気をしていたとしても、自分が不貞を冒していい理由にはならない。
「俺が、嫌いですか?」
「そういう訊き方、狡い」
彼は優しく顔を傾けさせ、視線を合わせてきた。