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第5章 5

「っはぁ……」

深い息のように吐息を漏らし、小さく開いた口からはすぅーっと息を吸う。
乱れてはいけないと自らを律し、奥歯を噛みながら目を固く瞑っていた。

「気持ちいいですか?」

あまりに反応を示さない紫遠に、遼平が不安げな声で問い掛けた。

『ええ、とっても』と心の中で返すのが精一杯だった。
彼の愛に応えられることが出来ないのに、肯定する言葉は気安く言えなかった。

しかし若い彼は言葉として貰わないと不安なのか、より激しく責めてくる。
指は媚裂の上の芯芽を擦り、舌先はグリグリと奥へ埋まろうと圧してきた。

「ひっ……あっ……そんなに、されると」

淑やかな仮面がずり落ちそうになり、慌てて口をつぐむ。
頑なな彼女に遼平は更に意固地になり責め立てた。
中指と人差し指は『の』の字に円を描き、速度を上げていく。彼の唾液や自らの悦汁が絡まり、心地よく滑ってしまっていた。

「そんなにされてしまうとっ……駄目になりますっ……あぁっ……ねぇっ……駄目になりますからっ……」
「駄目にしたいんですよ、あなたを」
「そんな意地悪しないでっ……あぁ……嫌いになりますっ……」

ゾクッとした鋭い刺激が小粒の芽から全身へと飛び散る。
握った手を出鱈目に力強く締めながら、顎を反らして震えて上り詰めた。
それでも品性のない声だけは何とか圧し殺せていた。