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あなたが教えてくれたこと
第5章 5
彼女が力果ててしまったことは遼平にも伝わっていた。

「可愛い声、聞かせてくれないんですね」

少し拗ねたように言われ、耳が擽ったかった。
繋いだ手は離さず、顔が向かい合うように寄り添ってくれる。

腕枕をされ、「素敵です、紫遠さん」と秘密の言葉のように囁かれながら背中を擦られた。

なんと返すのがマナーなのか、夫しか知らない紫遠には分からない。ただ彼の胸に顔を押し付け、彼の鼓動を聞いていた。

下腹部はまだ燃え盛ったまま、治まっていない。
正嗣は一度や二度の絶頂などで赦してはくれず、次から次へと快楽を刻んでくる。それが身体に馴染んでしまっているからだ。
恥知らずな己の身体恨めしかった。

「紫遠さんの全てを感じたい」

抱き締められながら耳許で囁かれた。言われるまでもなく紫遠も彼の全てを感じたかった。
しかし首は想いと真逆の方向に揺れていた。


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