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あなたが教えてくれたこと
第5章 5
二人は愛し合うのに不必要なもの全てを脱ぎ捨て、座った姿勢で向かい合っていた。
服の上からでは気付かなかったが、遼平の身体は隆起のはっきりとした引き締まり方をしていた。水泳選手のような、しなやかな身体に思わず見惚れてしまう。

こうして裸を付き合わせてしまうと改めて自分の身体が恥ずかしく思え、両腕で隠してしまいたくなった。
彼の腰のものも肉体に劣らず逞しく聳えている。
もちろん彼女が頼むまでもなく、彼はゴムを纏わせてくれていた。

俯き気味な紫遠を覗き込むように遼平がキスをし、片脚を掴んで距離を縮めてくる。
圧された彼女は自然なかたちで床に背をつけ、その上に遼平が覆い被さった。
二人は目を逸らさず、静かに見つめ合う。
彼の穂先が女唇に触れた。

『ああ……私、どうかしてる……』

夫を愛してるとか、愛していないとか、そんな次元で語れるものではない。既婚者として、ましてや母親として、夫以外の男性を受け入れようとしている。
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