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第4章 稜の秘密
「んあっ、りょっ、た、ぁああっ...もっ、もうっ」

抱きしめた腕の中でしがみつく稜が、耳元で声という声にならなく喘いでいる。

肌を合わせる音と、激しく荒い息でかき消されているようだ。

いや、稜の声が聞こえて来ないほど、俺も声を出してるのかも知れない。

それなのに、必死に俺の名前を呼んでる気がする。

というか、きっと呼んでる。

もう、俺も....っ。


「稜っ...、ああっ!」

体全体で感じていた快感が、突き抜けるように熱を放つ。



どのくらいだろう。

きっと、数秒。

時が止まっていた。



震える稜のナカが、より奥へと強く誘って。

我に返って、さらにぐっと腰を進める。

「くっ、はぁっ、はぁ...」

これまで以上にぐいぐいと締め付けて、根こそぎ持って行かれそうな感覚だ。

出し切ると、それまで一切感じなかった疲労感が急激にやってくる。

稜の体が、まだ大きく震えているけど。
分かってるけど、そのまま上にぐったりと覆いかぶさってしまった。


どのくらいだろう。

そのまましばらく抱き合って。


汗がしっとり顔を伝うのを感じて、また我にかえる。

すぐ目の前にある、稜の首筋や耳にキスをして。

このまま、唇キスもしたい。

なんとか力を入れて上体を少し起こす。


潤んだ瞳の稜と目が合うと、なんだか申し訳なさそうにしている。

「え?どうした?」

「...無理だったー」

小さな声でそう言って、首に抱き着いてくる。

「ちょ、...え?」

んな抱きつかれたら、今やっと起き上がったのにー。

と思う間もなく、稜の上に乗っかってしまう。

なんだなんだ。

彼女の息が耳にかかって、くすぐったくてたまらない。

「ダメだよ。やっぱり、羚汰のイクとこ全然見えない」

またしても小さく囁くから、意味が分かるのに時間がかかった。

そういや、イクとこ見たいって。
すっかり忘れてた。

くくっ。

また笑えてくる。

「なんで、笑うの?」

不服そうな稜が、体をズラし顔を少し離して驚いたように睨んでくる。

あー。ヤバイ。こんな変顔も可愛い。

「なーんでも」

腕の中に今1度閉じ込めて、また微妙に表情を変える顔を見つめると、唇を重ねた。
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