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ちょいS部長の羞恥レッスン
第21章 花火大会
 藤崎が言った「最後」という言葉に、ハッとする璃子。

 嬉しさや喜びはたちまちのうちに、大きな寂しさに取って代わられてしまった。

 すると藤崎が璃子に触れるのをやめて言う。

「着付けを始める」

 璃子は「はい」と言って頷くと、全裸でまっすぐ立ったまま、藤崎が浴衣を着せてくれるのを静かに待つ。

 藤崎は慣れた動作で、あっという間に着付けを終えた。



 ピンクの浴衣は色合い鮮やかで、思わず嬉しくなってしまう璃子。

「こんな可愛い浴衣を買っていただいて、ありがとうございます!」

「よく似合っている。準備ができたら出発するぞ」

 璃子は「はい!」と笑顔で答えながら、藤崎に珍しく褒められたことに対して心底嬉しくなっていた。

 内心「きっとお世辞だろう」と思いつつも。

 ただ、それと同時に、例のあの女性にもこんな事を言ったりしているのかなと思うと、複雑な気持ちになってくる璃子。

 璃子はそんな気持ちをかき消すように首を振ると、黙々と準備を続ける藤崎の広い背中を黙って見つめ続けた。

 さっきの嬉しさはどこへやら、寂寥感で胸を一杯にしながら。



 数分後、準備を全て終えた二人は家を出発し、徒歩で駅まで向かった。




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