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第5章 焦らし
しばらくそのまま時が流れていた。
テレビがCMに入ると、タカダはベッドから降りてローテーブルに置いたままのペットボトルを飲んでいる。

戻ってきたタカダは、チヨを見ることなく同じ場所に座ると、同じように愛撫を続けた。
不自由な体をよじって左手から逃れようとしても、執拗に追いかけてくる。
それでもタカダはチヨなどいないかのようにテレビを見ているだけだ。

「タカダさんっ、お願い、許して」

その声にも、振り向かない。

チヨは、頬に涙をながしながら、タカダの背中を見る。
辱められ、焦らされて、もう、限界だった。






ブィーン


テレビから流れる声に混じり、微かな機械音が響き出す。

「んっ、ああっ」

ローターが敏感な場所にうまくあたるように無意識にチヨは腰を動かした。

まだ、もっと。

一度理性を捨ててしまい、貪欲になったチヨの体はもっと大きな快楽を求めて、それに応えるように右手はリモコンのスイッチを押し上げる。

チヨの喘ぎ声とくねる体に気付きながらも、タカダは先ほどと同じように左手を動かしていた。

「あっ、んん、もっと…」

リモコンはすでにマックスだった。
チヨはそれでもリモコンを握りながら、喘ぎ続ける。
気持ちいいけれど、これじゃ、イケない。

「ああ、あっ」

身悶えしていると、ようやくテレビは2回目のCMに入った。

「え、うわ、ちーちゃんどうしたの?」

物足りない快楽の沼で鳴き続けるチヨを、今気がついたとばかりにタカダは見下ろした。

「え、もしかしてローター動かしてるの?」

「はぁ、だってぇ」

続けることもできず、チヨはタカダを見上げる。

「ほんと、淫乱。どう?気持ちいい?」

「ん、気持ち、いい。でも、もっと」

「もっとって、どんだけ変態なの。男の横で一人でローターで遊ぶのに物足りないの?」

「たりない、だから…」

くすくすとタカダは笑っている。

「はは、いやらしい子。じゃあ、手伝ってあげるね」

タカダはそう言うと、以前と同じように、ローターを上から強くおしあてた。
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