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第13章 闇の中
「今日は、暑いね、ごめんね、待たせて」

タカダは車を走らせると、チヨに微笑んだ。

「いいえ、着いたばかりだったので」

夏に入る一歩手前。
梅雨の合間の久々の晴れの日だ。
お昼を過ぎたばかり、エアコンを強くかけないと汗ばむ湿度だった。

せっかくだから、こんな天気の日はどこかお出かけしたいな。

そう思っても、チヨは口には出さなかった。


タカダはチヨの気持ちに気がつくことなく、一人話し続けている。

そのご機嫌ぶりに、チヨは何かタカダが企んでいるのだろうとは思うけれど、聞くのが怖かった。

「今日は、どこ行くんですか?」

代わりに、尋ねる。

「ん?そうだね、久々に、あのホテル行こうか」

「あのホテル?」

「ほら、SMルームあるとこ。覚えてる?」

チヨは途端に赤くなる。
そう、その反応。
タカダは嬉しくなって、さらにテンションをあげていた。

「今日はね、ちーちゃんのために、素敵なプレゼント用意してあるから、楽しみにしてて」

タカダは鼻歌でも歌い出しそうなほど、楽しそうにハンドルを握っていた。
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