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霞草
第7章 すれ違い
また、金、体裁、父、本当に表面的なことしか言わない。
可哀想に、母も父の横暴さの犠牲者なのだ。
僕は、おじさん達家族と、自分達を比較していた。
母には、今、とても幸せな家族にお世話になっており、心配することはないと伝えて、受話器を置いた。
僕は、昼食後、部屋にこもってしまった。
霞の家族といるのは、楽しいし、力をもらえる。
でも、僕は、あの家に帰らなければならない。
霞と離れたくない。
どうしようもないこと、答えの出ないことを考えても解決の糸口はなく、畑仕事の疲れも加わり、そのまま眠ってしまった。
ノックの音で目覚める。
霞が学校から帰ってきたのだ。
飛び起きて部屋を出ると、霞に花畑に行こうと誘われた。
霞草は静かに咲いている。
何の汚れも知らずに、そして、時を知らないかのように、いつも新しい蕾をつけ、花開く。
霞は、僕が部屋にこもっていたのを気にしているのだろうか。
新学期、クラス替えや担任のことなど、ポツリ、ポツリと話す。
そして、苦手な教科を教えて欲しいと言ってきた。
確かに、学校が始まって、毎日散歩に付き合わせる訳にもいかない。