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霞草
第7章 すれ違い
バスを降りると、薄暗くなっていて、森の中を通るのはちょっと不便だった。霞の手をしっかり握って歩く。
宿に帰ると、宿泊客はおらず、ひっそりとした、いつもの様子に戻っていた。
おばさんは少し心配していたのか、玄関を開けると、
「おかえりなさい」
と台所から顔をのぞかせた。
食事の支度も終わっていたようでそのまま夕食となった。
霞はおばさんの気苦労を他所に、一日の様子を楽しそうに話していた。
僕は、おじさんおばさんに帰りが遅いことを詫びた。
「まあ、今日は坊主と一緒だからいいが、山ん中は灯りがないからな。一人の時は遅くならないように。」
おじさんは、はしゃいでいる霞をたしなめた。
食後におみやげのケーキをいただく。
評判なだけあって美味しい
「うちは、街にあまり関心がないからな、でも、美味しいなぁ、こんなおみやげなら学校帰り毎日でもいいぞ。」
「あら、お父さん、さっき言ってたこととちぐはぐじゃないですか。」
おばさんが笑う。
「次からは、ケーキ代ちょうだいね。」
霞も負けじと言う。
皆が笑って楽しい団欒となった。