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夢…獏の喰わぬ夢
第7章 現在
「お互いに昇り詰めることは悪ではないわ。」
彼女が言い切った。
「君がそう思うなら、間違いじゃないね。僕は自分勝手過ぎたと、反省してた。
ウトウトしてこのままじゃ悪夢を見そうだった。夢と現実の間の真っ暗闇に留まりそうだった。」
「それは良くないわ。でもそんな場所あるのかしら」
「わからない、それも悪夢の入口だったのかも」
落ち着いた雰囲気の店だ。
僕は殺伐としたコンビニ弁当に飽きると、ここにくる。
と言っても仕送りだけで生活しているのでいままでに数回だが…。
「お洒落なお店ね。」
彼女がクリームたっぷりのパスタをクルクルとフォークに巻き付けながらいう。
「そう、僕のこだわりと夢のある店なんだ。」
「夢?」
「来年、二十歳の誕生日には、ここで祝ってワインを開けたいんだ。」
「素敵ね。でもお酒飲んだことないの?」
「親と少しならね。だけど、本格的に飲むのは、その日と決めているんだ。
偶然この店を見つけてから、ここでと決めたんだ。美味しい料理をつまみながら、ワインを飲む。
今までは漠然と考えていたけど、もし、良かったら、お祝いに付き合ってもらえないかな?」
「…来年の誕生日よね。」
「そんな先の約束しちゃ駄目かな?」