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夢…獏の喰わぬ夢
第7章 現在
彼女は
「ご馳走作るわよ。」
と張り切ってキッチンに立つ。
ベッドに座って待つしかない僕は、2日間この上で繰り広げられた出来事は夢だったんじゃないかと思い始めた。
「ねえ、君はどうして僕の隣りに座ったの?なんで僕に声をかけた?」
「駄目だった?」
彼女は手を止めて振り向く。
「いや、なんで僕なんだろうって、」
「私達、話をしたのあれが始めてじゃないわ。
最初あなたが話しかけてきたのよ。」
彼女は料理をしながら背中を向けて言う。
「えっ?」
「4月の二週目に突然講義の教室が変更になったの覚えてる?」
確かにそんなことがあった。
指定された教室に行くと、黒板に『教室の変更があります。』と表示されていて、
慣れない中慌ててその教室を探したっけ。
「あなた、ギリギリに入ってきて、私の隣りに座りながら、
『2-eの教室、英文の授業ってここであってますか?』って訊いたわ。」
思い出した。彼女は、今思えば、彼女のいつもの決まり事だが、すでに突っ伏して眠るところだった。
顔も上げずに『そうよ。』と答えたので、不機嫌なんだと思ってそのまま礼もいわなかった。