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夢…獏の喰わぬ夢
第7章 現在
「君だったんだ。」
僕は何だかおかしくなって笑った。
「何で笑うの!」
背を向けたままの彼女が怒っているのがわかる。
「だって、僕は君から話しかけられたと思っていたのに、僕が先に話し掛けてたなんて。」
「面白くないわよ。」
彼女がまだ怒っている。
「大学に入って、初めて人に話し掛けられて、私に声かける人なんていないと思ってたのに。
その後、どれだけ私が悩んだか知らないでしょ。」
「僕なんかで申し訳なかった。」
「そう意味じゃないわよ。
誘う目的で声をかけられたんじゃなく、ただの質問だと思ってたわ。
でも、それなのに次もその次も同じ講義受けてるじゃない。
付きまとわれているのかと思えば、別に近づいてくる訳じゃない。
たまたまなのかな?って」