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夢…獏の喰わぬ夢
第8章 変化
7時を過ぎると客が入ってきた。
昨日まで自分が客だったのに不思議だ。
朝はたいてい皆忙しそうだ。
新聞、雑誌、飲み物タバコ、朝食か昼飯か、そんなものばかりだ。
レジが混み始めたら、奥さんが出てレジに入った。
「おかげでだいぶ楽させてもらったわ。」
と声をかけてくれた。
酒屋時代苦労した話を聞いていたので、少しくらいで助けになるならと嬉しくなった。
8時まで話をするほど暇になることはなかった。
「時間よ。学校に遅れるから、遠慮なく抜けなさい。良ければ帰りに寄って、こんなで話もできないから」
「じゃあすみません、失礼します。」
タイムカードを押して裏口から出た。
早起きに慣れてしまえば結構楽な時間帯だと思った。
ただ働くことが初めてで緊張したのと、
少しでもあの夫婦の為になっているということが嬉しかった。
朝から善いことをして充実した気分だった。
そして、平日、ずっと彼女と過ごせない寂しさを紛らわしてくれ、お金が貰える。こんないいことはない。
鼻歌を歌い出してしまいそうな上機嫌で駅へ向かった。