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夢…獏の喰わぬ夢
第8章 変化
いつもの電車に乗る。
彼女へのプレゼント、果たしてどんなものがいいのだろうか。
バイト代はいくらぐらいになるだろう。
月曜日の気の重くなる通学時間が楽しいなんてと、また喜んでいた。
ドアが開き、そこに彼女がいた。
彼女にしてみれば何本が早い電車なのだ。
「おはよう、一緒に行こうと思って早く出てきちゃった。」
彼女はさらっと僕を喜ばせる言葉を言う。
「おはよう。」
逆に僕は何も返せない。
「なんかいいことあった?今日はご機嫌良さそうね。」
バイトのことをつい話したくなった。内緒にして驚かせるのは大変だ。
「あっ、サンドイッチありがとう美味しかったよいつのまに作ってたの?」
「内緒、朝食べる人かしら?と思ったけど、食べてもらいたいなってね。」
彼女に友達がほとんどいないとは思えなかった。
弾むような会話。彼女といるだけで楽しい。
つらい高校時代の話、両親との関係、そちらが作り話のようにすら思えるほどに。
また車両が混み出して、彼女と密着する。
体が反応してしまわないように少し離れて、昨日、一昨日の出来事を思い出さないようにした。
彼女は察知して何か言いたそうな表情をしている。
お願いだから、静かにしてくれ、と念じた。