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夢…獏の喰わぬ夢
第8章 変化
駅を出るとすぐさま彼女は
「ねぇ、さっきやけに静かだったわね。何考えてた。」
と言いながら、腕を組んできた。
「あまりからかうと学校に行けなくなるぞ」
「いいよ。どこか行こっか。」
瞳が悪戯そうに輝く。
「えっ?」
彼女が腕を放して前に進みクルッと振り向いて、
「嘘っ」
あの笑みをする。
「どれだけからかえば気が済むんだ?」
僕は彼女の手を取ってつないだ。
「いつでもずっと一緒にいられるんだもの。時間はたっぷりあるわよね。」
僕は、つい先ほど、店主の話を聞いて、いたって真面目に将来のことを考えていたのを忘れ、
彼女との甘い時間が永遠に続くことに思いを馳せた。
「何かいいことあったみたいね。
まず、悪い夢にはうなされなかったみたいね。」
そうだ。君の為に働く為に、早く眠り熟睡したから、
「そういいことが沢山あった。夢も見ないで眠ったと思うな。」
彼女に隠し事をするのは至難の業だ。
「ふうん。良かったね。」
あっという間にキャンパスについた。周りの目が気になり、手を離そうか迷った。
彼女の手がぎゅっと僕の手を握る。本当によく僕の心がわかっている。
僕も気にすることはないと、握り返して教室に向かう。