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夢…獏の喰わぬ夢
第8章 変化
しかし、行った先はホテル街だった。
僕が面食らっていると
「どこかに入ってもいい?」
昼間から堂々と入って行くカップル、隠れるように入る人、
周りに気をとられ彼女が間違えて、この通りにきたのかなどと考えていた。
返事もできずにいると、
彼女はくるっと折り返しシンプルな外観のホテルを選んで、
もう一度
「いい?」
と訊いてきた。
僕はこくりと頷いた。
彼女の奇想天外な行動に頭がぐるぐるしながら、ホテルに入った。
雑誌などで興味はあったものの、
まさか彼女とこんなに早く来ることになるとは思っても見なかった。
パネルの前に行き、
彼女は部屋の様子で選んでいる。
海をイメージした部屋を見ていた彼女の手が、
僕の人差し指を引き、ボタンを押させた。
全神経が人差し指に集中し、今までの彼女のすべて仕草よりもいやらしさを感じ興奮した。
エレベーターに乗り部屋に入るまで、他のカップルに会ったりしないように願った。