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夢…獏の喰わぬ夢
第8章 変化

大学を抜け出してきたせいか、すごく悪いことをしている気分だった。

二人とも無口だった。

部屋に入ったら『図書館は?』『どうして?』と訊きたいことだらけだった。

彼女だって初めてだろう。

講義後の出来事が影響しているかとも考えた。

いざ部屋につくと

「お腹すいた、今日はここでランチにしよう。」

お弁当を広げ始める。

食事しながらやっとのことで

「朝から、ここに来るつもりだった?」

と訊いた。

「ううん、どんな所だか見てみたいとは思ってたけど、
駅で渋谷と言ったとき、ふと思ったの。
行ってみたいというのも恥ずかしいし…」

彼女は顔を赤くした。

「女の子もそういう興味あるんだね。」

「変かな…。ちょっと研究してもいい?」

彼女はバスルームを覗いたり、冷蔵庫を開けたりして、ベッドに寝そべって、色んなボタンをいじり、照明やらスピーカーなどチェックした。

まるで子供が新しいオモチャを手にしたようだ。

週末まで彼女とゆっくり会う時間はないと思っていたので、
突然のチャンスに逸る自分がいて、
うつ伏せで足をパタパタさせている彼女に襲いかかってしまいそうでもあったが、
あまりに無邪気な彼女の遊びを奪ってしまうのもしのびなく、
彼女を眺めていた。
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