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夢…獏の喰わぬ夢
第9章 色
彼女から、金曜の夜に僕の部屋にきて、土曜日は美術館に、日曜は図書館に出かけようと誘われた。
僕はバイト先に金曜の休みを申し出た。
眠い時間帯にめげずにきている僕に奥さんから労いの言葉を頂いた。
働く喜び、それを評価して貰えることが嬉しかった。
金曜日、学校からそのまま僕の部屋へ二人で帰る。
途中で買い物をする。彼女は、ハンバーグを作るそうだ。
部屋につくと彼女はエプロンをつけてキッチンに立つ。
玉ねぎを刻む軽快な音が耳に心地よく響く。
僕は、風呂を掃除して湯を張り始めたが、手持ちぶさたで彼女に声をかける。
「料理一緒に手伝ってくれる?」
家でも手伝ったことのない僕はとまどった。
「やったことないから、」
「大丈夫よ、簡単なところからやれば。」
ボールにひき肉と炒めた玉ねぎが入ったものが目の前に出された。
「こうやって、混ぜて捏ねるのよ。」
彼女は、肉と玉ねぎを混ぜたり、握って指のあいだから出したりしている。
「サラダを作るから、真似て捏ねてみて。」
冷たい肉と温かい玉ねぎが混ざる。初めて生肉に触れてあまりいい気分がしなかった。
彼女がしたように、手を広げ、指のあいだから肉を捻り出すように握る。