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夢…獏の喰わぬ夢
第2章 獏
「いきなり自由になんて難しいよね。どこからどこまでが夢だ現実だなんて境目がないのよ。」
「じゃあ、僕は夢の中で、君が夢を通して僕に話しかけたのが現実の君だと思ったんだが、今、君も同じ感覚を持っているのか?」
上手く説明しようとして自分でも混乱してしまったが、彼女なら言わんとしていることをわかってくれるだろう。
「難しいわね。自由って、私も誰かとこんなにじっくり夢について話したことがないの。
最初は皆が同じ感覚で夢を理解していると思ったわ。
でも、母親に訊いても誰に訊いても、『夢は夢でしょ!何馬鹿なこと言って、』と取り合ってもらえなかった。
だから、変わった子になり、今ここにいる。」
「はぐらかさないで教えてくれ、午後の講義のあの時、君はいつものように夢の中に行き、夢の僕と会ったよね?」
僕の真剣さが伝わったのか、彼女がゆっくり口を開いた。
しかし、その言葉は、もっと驚愕するものだった。
「こんなこと誰にも話したことがないの。家族みたいに私のこと可笑しな子と思わないでくれる?」
僕は黙ったまま頷いた。
「私も見たわ。でもね。あなたが夢見る前に、午前中の講義、あなたの隣で眠っていた時よ。」
「えっ、そしたら」